EXHIBITION

#02
BiodiversityAugust.2021

「ニンゲンと植物はどっちのほうが強いと思う?」

以前、そのようなことをある年配の方から問われたことがある。それは当然、一人のニンゲンと一本の杉が闘った時の物理的な強さのみならず、種としての強さだ。そう考えたとき、ニンゲンは花を摘めれば、除草剤を撒き散らし、チェーンソーで大木を切り倒すこともできれば、火を放ち森をも焼き尽くせる。住処や田畑や道路やゴルフ場のために木々を切り倒す一方、花や観葉植物を増やしては売り買いし、愛で、公園や庭園を作っては傍に置く。一見、ニンゲンが植物の支配者かのように思える。

あなたにとって冒頭の問いは、幼稚に聞こえるだろうか。では例えば、比較の対象が植物でなく、アリやハチやイモリやカツオやゾウだったらどうなるだろうか? ただ一対一で戦わせずに、その問いを突き詰めて考えていくと、相手のみならず、それを取り巻く他の生命を結ぶ縁が自然と見えてきて、それナシには思考を進めることが困難になってくる。

ニンゲンとは恐らく、脆弱な強者なのだ。弱肉強食による生命の環は、弱者を強者が食べる構図になっているが、弱者が存在しなければ強者も存在しえない。にもかかわらず、現代のニンゲンは加速度的に、地球の支配者のごとく繁栄しては寄ってたかって、他の種族を滅ぼしている。それも無意識的に。

このExhibition #02 “Biodiversity”は、生物多様性をテーマにした作品展となっており、コラージュを表現手法の一つとして取り入れているアーティスト、長尾洋・スズキエイミ・KURiO・花梨の4名が新作を発表する。

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